私の恩人の一人で、Sさんという方がいます。

Sさんは、私が初めて、就職した、

TV番組制作会社の社長だった方です。

一時期、社員が100人くらいいた制作会社のボスだった人です。

私なんて、完全に下っ端でしたから、雲の上の人みたいな存在でした。


朗読検定がうまく行っていないころ、
このSさんに相談に行きました。

私がひと通り、Sさんに朗読検定のことを話し終えた後、

Sさんが、


「ほかの検定いうのは、こんなにめんどくさく無いやろ。

テキストを買って、勉強して、試験会場行って、解答書いて、後は待つだけや。

だからみんなやるねん。

この、朗読検定いうのは、めんどくさいやろ?

だからあかんねん。」

※ほかの検定団体様、誤解を受けるような書き方で申し訳ありません。そんな簡単な物では無いことはSさんもご存知です!



私は、一瞬、


(図星やんか・・・)


と思いましたが、とっさに、


「めんどくさいから面白いんです!」


と言いました。


すると、Sさんは、


「・・・なるほどな、うん。 そういうのもあるな。」


と腑に落ちたようでした。


でも、一面としては、Sさんが正解で、

実際、

朗読検定は、めんどくさいのです。


受検してくださった方はご存知でしょうが、手順を書きますと、

1.課題が本部から送られてくる

2.練習する(と同時に筆記試験に取り組む)

3.静かな環境、時間をみつけて録音、

4.(失敗したら)やり直し。

5.出来たら(同封されている)クッション封筒に入れて本部に送る。

※5の手順は、メールで音声データを送る場合は不要です。


どうですか、大変、めんどくさいでしょう?


インターネット全盛の、

日用品のほぼすべてがネットで買える時代に、

超アナログです。

時代に逆行しています。


でも・・・

朗読、読み聞かせ、

という行為自体、アナログなんです。


そこで、ちょっと考えてみていただきたいことがあります。


あなたは、

アナログレコードとCDの違いを知っていますか?


アナログレコードは、

一度として、まったく同じ音は出していません。

硬い針が、樹脂で作られたレコード盤に刻まれた溝をなぞることによって、音を拾っているからです。

ですから、

レコードプレーヤーの近くに、
猫が飛び乗ったら音飛びします。(笑)

レコード盤をむき出しで置いていたら、
ホコリが乗ってしまい、音が悪くなったり、
音飛びしやすくなります。

レコードの溝のほこりを取る、
繊維で出来たクリーナーもありました。

レコードは、
A面を聴いていて、B面を聴きたくなったら、
一度、止めてから、裏返さなくてはなりません。

対して、

CDは、いつも同じ音が出ます。

再生ボタンを押せば、何の苦労もなく、

プレーヤーが故障しない限り、
いつも同じように音を出してくれます。

プレーヤーが置いてある場所に、
猫が飛び乗ろうが音飛びしません。

少々のホコリや、
傷が付いていても、音飛びしません。

選曲ボタンで好きな曲を一瞬で選べます。


利便性、機能面では、
どう考えても、アナログレコードが完敗です。


しかし、

CDが無かった時代、

アナログレコードと、
カセットテープしか無かった時代にだけ、
有ったものがあります。


それは、

工夫

です。

例えば、こんな悩みがありました。

(どうしたら、安定した音が出せるだろうか?)

(選曲を一発でできないだろうか?)

(A面とB面を裏返す動作なしで、続けて再生できないだろうか?)

(針はどんな素材が良いだろうか?)

(プレーヤーの回転ムラを無くすには、どうしたら良いだろうか?)

(プレーヤーを置く場所は、どう気をつけたらいいだろうか?)

(「サー・・・」というノイズ、消せないだろうか?)


それこそ、

レコード盤への針の落とし方の上手い、下手、まで有ったのです。


レコード盤のことを知らない方に説明をしますと、

レコードをかける時、

音を拾う針がレコード盤に乗る瞬間、

「ボッ」

という音が鳴るのです。
※これが鳴りにくい、高価な機器もあります。


これを、鳴らさないように出来る人が、

レコードをかけるのが上手な人

だったのです。


今、

CDをかけるのが上手な人

なんて言いません。
言わないどころか、いません。(笑)



私が何を言いたいかというと、

一期一会という言葉にあるように、


朗読のように、

アナログなこと、
人がおこなうことは、

刹那的で、
常に一度きり

ということです。

別の言い方をすれば、
不安定とも言えます。


でも、

最高の状態を、
たった一度きりにしないように、

安定して、
同じように再現するために、

より良い、
最高の中の最高を目指すため、

工夫をしたり、練習する。


朗読をしているあなた、

そして、

どんな偉大なアーティストでも、
そうなのでは無いでしょうか。


音楽家も、
俳優も、
声優も、

観る人、
聴く人に、

「自分の最高を届けたい!」

と思い、
それを届け続けるために、


食べるものや、
運動、体調を管理したり、

効果的なトレーニングを研究、実践したり、

常に最高の自分の状態を知り、アドバイスをしてくれる人

をそばに置きます。


朗読検定は、
まだ、その域に達していないかもしれません。


でも、近い将来、

私達がつくる朗読検定が、

あなたの最高の状態を知り、アドバイスができるもの

そうなれるよう、
私たちも、研究を続け、工夫を凝らし続けたいと思っています。


あなたの工夫や、
一生懸命に練習した朗読に、

最高のアナログで応えていきます。