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葉月のりこ

メルマガへのご質問「と、は間を置くべきですか?」


一般社団法人日本朗読検定協会 公式メールマガジンにいただいたご質問より


ペンネーム:氷柱さん
 

高校で放送部に所属しています。

 セリフの後の助詞「と」についてです。


(「こんにちは。」と言った。)の「と」です。

部活の顧問に、セリフの後は、「と」とくっつけて読んだ方が良いと聞きました。

しかし、朗読CDを聞くと、ほとんどの人は、セリフの後に間がありました。

 

セリフと「と」の間は、間を空けた方が良いのでしょうか?


とのご質問をいただきました。

このご質問に、朗読検定(R)認定プロフェッサーの、8名が回答しました。


【回答 その1】
 

こんにちは。はじめまして。

名古屋でプロフェッサーをしている、

益田真里子と申します。


放送部で朗読をされているんですね。

私も高校時代、放送部で朗読をしていました。

頑張ってくださいね。

 

助詞の「と」の読み方について、アドバイスをさせていただきますね。

 

セリフのあとの「と」については、間を開ける場合と、そうでない場合があります。

つまり、セリフの扱い方、表現の方法によって、「と」の前に間をつくるかつくらないか、という事です。

 

例えば、

氷柱さんが「おはよう」と言った。

この時、その前後の文章で氷室さんの気持ちを想像しつつ、「おはよう」を「セリフ」として表現する場合は「おはよう」の後に間を開けた方がいいですね。

なぜなら、誰が、どんなセリフを話したか、聞いている方の耳に届いて、それを理解するまでに、若干の時間が必要なのと、どんな気持ちでセリフを言ったか、を、聞く人に伝える必要があるからです。

それと、登場人物としてセリフを感情表現したあと、すぐに語り手として地の文に戻るには、技術的に難しい場合がありますので、間を取って、登場人物から語り手に戻るために「間」を開けると良いと思います。

 

間の長さは、「おはよう」の表現によって変わりますが、私は教室の生徒さんに教える時には、セリフの後に「トン」くらいの間を開けましょうと教えています。


朗読すると


氷柱さんが「おはよう」(トン)と言った。


と表現します。


「おはよう」


の表現によっては、


 言った。


というように、「と」の後に間を取ることもありますが、文章の前後の意味によって変わります。

 

続いて、

氷柱さんが、おはようと言った。

このように、地の文の中にセリフの様な言葉が入る時には、地の文として扱うので、間をあまり取らない事が多いです。

地の文として表現する時には、「おはよう」と言った氷室さんの感情よりも、「おはよう」と言った事実(出来事)が大切なので、「と」の前に間を空ける必要がないと私は考えています。

 

氷柱さんの参考になると嬉しいのですが。

色々な作品を読んで、どんな間がいいのか、試してみてくださいね。




回答:朗読検定(R)認定プロフェッサー 益田真里子株式会社VoiceVoice HP



【回答 その2】

佐々木一夫です。

難しい質問ですね。

これは、どちらが良いということではないと思います。

読む場面、読む物の種類によって変わって来ます。

 

例えばアナウンサーがニュースでこんな原稿を読むとき。

【佐藤氏は「こんにちは」と言いました。】


普通は「と」をセリフの後につけて


【佐藤氏は「こんにちは」と、言いました。】(「間」を読点「、」であらわしています)


と読むことが多いでしょう。

これは、強調する部分が会話文の「こんにちは」より名前の「佐藤氏」の方が強いためとおもわれます。

 

また物語の中に同じ文章が出て来て、役者さんが、

【佐藤氏は「こんにちは」、と言いました。】(「間」を読点「、」であらわしています)

と読んだ場合、会話文の「こんにちは」を強調することになるようです。

 

「おもわれます」とか「ようです」とか曖昧な言葉遣いをしているので不審に思われるかもしれませんが、日本語というのは「曖昧」な部分が多く、読み方によって意味が変わってくることがよくあります。

 

自分たちでいろんな読み方を試してみて、どういう意味に聞こえるか話し合ってみるのもいいかと思います。


回答:朗読検定(R)プロフェッサー 佐々木一夫佐々木一夫 Facebook



【回答 その3】


ご質問は「間」に限定してのものでしたので、それを中心にお答えしてみます。

,發掘何かの練習問題で、上記の文のみが書かれているのでしたら、私もセリフと「と」の、 間に間を空けて読みます。カギ括弧で括られたセリフを際立たせたいからです。特に「こんにちは」は、挨拶表現ですから、余計に際立たせたくなります。

一方、ある文章の中にこの一節が出てきた場合は、このセリフがその文章(段落)でどのような位置づけであるかにより、読み方は考える必要があります。

1.セリフとの間に間を空ける例

友だちのAさんが向こうから歩いてきた。でも私には、気づかない様子。私は手を挙げて【「こんにちは。」と言った。】

2.セリフに「と」をつなげて読む例

…Aは高校時代の友人にバッタリ駅で出会った。友人はAの息子Cに目をやった。「お母さんの高校時代の友だちです。Bです。よろしくね。」Cはうつむきながら【「こんにちは。」と言った。…】

1でも登場人物(特にC)のキャラクターあるいはAやBとの関係、その他場面設定により、セリフとの間を空けることもあると思います。

部活顧問の先生は、朗読は読み手がどう伝えたいかではなく、聴き手がいかに自然に聴き取れるかが求められている、実生活の会話場面では「と」(「って」)は強調されていない(間は取られていないことが多い)、ということを伝えたかったのではないかと思います。


回答:朗読検定(R)認定プロフェッサー 藤野篤子



【回答 その4】

新潟の加藤博久と申します。
朗読では、多くの方がよく迷ってしまう疑問ですね。
 
これは、ご質問の文章のような「」のついたいわゆる台詞と地の文との構成になっている文章、そして、

こんにちはと言った。

のように「」が無く地の文の中で、こんにちはが表現されている文章によって、切るか、切らないか(くっつけるかどうか)の違いとなります。
 
すなわち、セリフの“こんにちは”を強調したり、演じたりする場合の文章は、
例題の通りセリフと助詞を区別するために、一瞬でも切って、トーンを変えたりして朗読します。

また、

こんにちはと言った。

のように「」で括らない場合は切らずに、地の文のONE WORDとして続けて朗読します。
 
つまり、「」があるかないかが判断の一つの目処となります。

例えば、
 
「しまった!」と思った。 と しまったと思った。・・・・は、強調や表情が違いますよね。
 
このたびの例題文は、一般的には少し区切って朗読することになるでしょう。
 
しかし、顧問の先生が間違っている訳では無く、文章全体の内容や、その言葉の前後の状況によっては、「」だけで判断が難しい場合もあるでしょう。
 
朗読の場合、書き言葉の句読点を、声にして読むと不自然になるので、話し言葉の句読点に変えることもあります。

同様に、助詞の使い方と読み方も表現が情緒的であるかどうかによって、読み手の判断に任されることもあるのですね。
 
以上、ちょっと長くなりましたが、参考にしていただければ幸いです。


回答:朗読検定(R)認定プロフェッサー 加藤博久 



【回答 その5】

神戸市の金野和弘です。
私は、一概に間を開ける、開けないという回答はないと考えます。

まず、「間」自体にも色々な「間」があり、余韻を残して想像を喚起する、場面の転換を図る、強調する、同意を促す等など様々です。

「間」と言うのは、ただの沈黙の時間ではなく、意図的で積極的なものだと考えております。

次に「、と」の扱いですが、これもその廻りの文章の流れとの関係で、言い方は変わりますし、様々です。
文章の進行を促すもの、文章内容の強調、更に間と同じく想像を喚起する、場面の転換を図る、強調する、同意を促す等です。

セリフの後の「、と」は一概に「間」を開けた助詞の「、と」と文法上で考えるのではなく、表現のための「と」として考えたほうがよろしいかと思います。


回答:朗読検定(R)プロフェッサー 金野和弘言の葉の杜 主宰)



【回答 その6】

東京都の赤須薫と申します。
台詞の後の「と」をどう読むか。些細なことの様で、実は意外と読みの技術が必要なポイントですね。
その点に気付かれた氷柱さんは朗読に対して繊細な感性をお持ちなのだと思います。

「(台詞)」と、その後に続く助詞の「と」を続けて読むか、間を空けて読むか。
答えは、“どちらの場合もある”です。場合によって使い分けるのです。

では、どう使い分けるのか?
わかりやすく単純に言えば「」の中の台詞の読み方によります。
次のような文章があったとします。

彼は「男の顔に見覚えはない」と警察官に話しました。

この文をアナウンサーが伝えるニュース原稿風に読めば、台詞に感情を込めることはありません。その場合助詞の「と」は続けて読めます。

「」の中も地の文も同じ声のトーンで表現するから続けられるのです。

しかし、物語の緊迫した一場面として台詞に感情移入して演劇風に台詞を読む場合はどうでしょうか。

台詞を言っている人物の年齢、性格、感情などを表現するために声の高さ、読む速度など、地の文とはまるで違うトーンになりませんか?その場合「」の前後には「間」を取るのが自然です。
台詞と地の文の声のトーンの切り替えに物理的に間が必要なこともありますし、この「間」の長さによって聴き手に与える印象やイメージが変わるため大事な演出ポイントにもなります。

御質問のメールだけでは顧問の先生がどういう意図でご指導なさったかはわからないのですが、台詞と地の文の切り替えが上手く出来ない段階では、台詞の後の「と」の音が高く、しゃくる様な感じで不自然に強調されてしまうことがあるのでその点のご注意も含んでいたのかもしれませんね。

(「と」に限らず、助詞をしゃくってリズムを取るのが癖になることもあるので要注意)

CDの朗読では、間を取った読みがほとんどだったのは、CDを出されるプロの方は台詞の表現も豊かで地の文との声の使い分けも出来るので自然な間が生まれているのだと思います。

また、文学的文章でも、わざと台詞を地の文に近づけ、感情を抑えて表現し「と」を続けて読む場合もあります。
勿論、(技術的に可能なら)演出上、感情移入した台詞の後に間を取らずに地の文を続けることもあるでしょう。

氷柱さん、台詞のある同じ文章を、台詞を平たんに表現した場合、感情を大きく表現した場合と色々変えて読んでみて、それぞれの場合で「と」をどう読んだら自然か、自分の感覚で試してみると面白いと思いますよ。

(間だけでなく、「と」の発音の強弱、高低でも印象は変わります。)

以上、何かお役に立つことがあったなら嬉しいです。部活がんばって!


回答:朗読検定(R)認定プロフェッサー 赤須薫



【回答 その7】

東京の倖月美和です。

と言った。ですが、そのあとの展開によって変わって来ると思います。
「こんにちは。」自体がどのような意味合いなのか。
例えばさらっとその人は言ったのか、その「こんにちは。」と聞いたあとどう思ったのか、急いで聞き流したのか、そこに何か意味を込めて言ったのか、それによっても変わって来ると思います。絶対につけなければならない、空けなければならないと言うことよりも、流れを考えて語ると良いでしょう。

続けて言ったとしても、「こんにちは」を強調するのであれば、「と」のニュアンス次第であけて読むのと同じように聞き手には言葉が入ってきます。あける、あけないではなく、物語の流れで読むことが出きれば、必ず伝わります。まずは、「こうだからこう読む」というのは捨てた方が良いかもしれませんね。浮かんだ映像のままの間合いで、浮かんだままの感情でまずは読んでみましょう。例え間を取ったとしても、取らなかったとしても、その間がなぜ必要か、必要でないのか、わからなければ聞いていても味気ないものになってしまいます。

と言った。しかし笑っていなかった。
と言った。その声にドキッとした。
と言った。それだけで癒された。
と言った。途端にあの時の恐怖が蘇った。
と言った。懐かしさに胸がいっぱいになった。
と言った。しかし私は返事をしなかった。
と言った。なぜ声をかけてくるのか、なにか企んでいるのか。
 
等全てが同じ間合いの「と」にはなりません。
 
そういう、ひとつひとつが大きなストーリーの中に動きを生むのだと思います。
 
先生にも、つけた方が良いと思う理由があるのかもしれません。先生の映像はどうなのか、自分が描く映像がどうなのか先生とおはなししてみるのも良いかもしれませんよ。
 
お手本や皆と同じように読むのであれば、A.Iで良いのです。
 
余計混乱させてしまったかもしれませんが、私は大事なのは映像が見えているかだと思うのです。それに合っていれば、どちらでも違和感なく、ちゃんと、聞き手に伝わるはずです。
そこで評価が変わることは無いでしょう。


回答:朗読検定(R)認定プロフェッサー 倖月美和



【回答 その8】

ご質問、ありがとうございます。葉月です。表現は自由ですから、「こうでなければいけない」というのはありません。自分の解釈で決めて頂ければ幸いです。でも、それが結構難しいのですよね。

たとえば、夏目漱石「こころ」の一文ですが、

(三十一)「もし私の命が真面目なものなら、私の今いった事も真面目です」私の声は顫えた。「よろしい」と先生がいった。
「話しましょう。私の過去を残らず、あなたに話して上げましょう。その代り……。いやそれは構わない。しかし私の過去はあなたに取ってそれほど有益でないかも知れませんよ。聞かない方が増ましかも知れませんよ。それから、――今は話せないんだから、そのつもりでいて下さい。適当の時機が来なくっちゃ話さないんだから」私は下宿へ帰ってからも一種の圧迫を感じた。

・・・ 【「よろしい」と先生がいった。】この文章だけを取り上げると、「と」をつけて読んでも、台詞の後に間を取っても、どちらでもよいような気がします。ただ、「と」を付けて読むと、この文章は全てが書生の語りになります。「よろしい」を先生の台詞にしたいのであれば、台詞の後に間を取ったほうがよいですね。これは、「前後の文章をどう表現したいか」まで考えてから決めていただければと思います。前「もし私の命が・・・」、後「話しましょう・・・」のことです。

(三十二) 「先生は癇性ですね」とかつて奥さんに告げた時、奥さんは「でも着物などは、それほど気にしないようですよ」と答えた事があった。 

 ・・・この文章は、私なら、全体を書生の語りとして、台詞に「と」をつけて「さらりと」読むと思います。でも「表現は自由」ですから、台詞っぽく読んでも全く問題はありません。

ポイントは、「その文だけを考えるのではなく、前後の文章の表現も含めて考える」、「誰の言葉で語りたいのかを考える」ということです。


回答:朗読検定(R)認定 シニアプロフェッサー 葉月のりこ葉月のりこBLOG



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場所:紀尾井 小ホール
   東京都千代田区紀尾井町6番5号

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    原作:夏目漱石  脚本・演出:葉月のりこ  篠笛:佐藤和哉
    出演:葉月のりこ/ニシムラタツヤ/三野友華子/山本達也/前田裕己/添田沙南/飯山廉

第二部:篠笛と詩の情景
    篠笛「オベールの祈り」  ゲーテの詩「神と舞姫」ほか

料金:前売り券:大人4,000円 / 中学生以下2,000円
   当日券:大人4,500円 / 中学生以下2,500円

主催:(一社)日本朗読検定協会 プチプラージュ
後援:夏目漱石記念年実行委員会/株式会社アクロスエンタテインメント/株式会社ゆーりんプロ
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プロフィール

村山博之

昭和45年大阪市生まれ。
TBS系列の放送局で、TV・ラジオ番組の制作、ナレーター・声優事務所の営業マネージャーを経て、日本朗読検定協会設立に携わる。
朗読検定(R)開発者。一般社団法人日本朗読検定協会 代表理事。NHK全国大学放送コンクールでは、第30〜35回の6年連続で本選審査員を務める。
実父は文楽の三味線奏者、鶴澤清治。(重要無形文化財保持者/日本藝術院会員)親戚に、同じく文楽の義太夫、六代目竹本織太夫がいる。

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