2013年9月28日は、もう一つ、ビッグイベントがおこなわれました。
『鼓笛綺譚(こてききたん)』〜杉本彩が読む、夏目漱石と林芙美子の世界〜
です。
以前にも書きましたが、杉本彩さんというと、
ダンサーのイメージ。
美麗なルックス。
ビジュアルイメージの強い方です。
朗読のイメージはありません。
しかし、
杉本彩さんのように、突出した個性を持つ方は、
普通の人が練習して出せない、
空気感があります。
その場にいるだけでメッセージ性を感じてしまう。
ミュージシャンで例えるとすれば、
エリック・クラプトンや、
ジミー・ペイジ、
リッチー・ブラックモア、
エディ・ヴァン・ヘイレン、
(全部ロックギタリストなのはご愛嬌で)
彼らを上回る技術を持つ人は、今や、星の数ほどいるでしょう。
もしかしたら、7〜8歳でも、
同じフレーズを難なく弾く子はいるかもしれません。
いや、いるでしょう。
しかし、
たった2万円のギターを持って、
わずか1万円のギターアンプに繋いでも、
彼らが出す音はその何十倍、何百倍、
何千倍・・・いや、数値に換算できない、パワーを感じさせます。
こうも言えます。
UNIQLOの店頭ポスターやCMを観て、
「あ、いいな!」
と思って、服を買います。
自分が着てみて、
「あれ?」っとなる。
・・・太ったからかな、と
がんばって痩せて着てみても、
どうにもあの雰囲気にならない。
・・・あなたは今、
「(モデルなんだから)当たり前じゃないか」
「(モデルは)私たちとは違うんだから」
と思われたと思います。
そう。
私たちが無意識に線引きをしてしまう、
これが、スター性、カリスマ性の本質なのです。
ここまでが、“百聞”です。
では、“一見に如かず”をご覧頂きましょう。
こんな佇まいを他の誰が出せるでしょうか。
私ごときの撮る、素人写真でもそれは伝わっているのでは無いでしょうか。
「杉本彩だ・・・」と。
そして、この場に居た人なら、目をつぶって聴いていても、
「杉本彩だ・・・」と、
誰かを目隠しして、会場に連れてきて、聴かせても、
「・・・読んでいるのは、杉本彩さんですよね?」
と言うでしょう。
持って生まれた個性、というのは誰にでもあります。
あなたにもあります。
それを磨いて下さい。
杉本彩さんの、
比較、批評を物ともしないパーソナリティの強さ。
これこそ、私たちがみなさんに感じ取っていただき、
催しを通して伝えたかったことです。
さて、ステージは、
杉本彩さんを主役に、
鼓方の藤舎呂裕(とうしゃろゆう)さん、
笛方の藤舎伝生(とうしゃでんしょう)さん
が脇を固めて下さり、描き下ろしの楽曲で彩ってくださいました。
この日、杉本彩さんに読んでいただいたのは、
夏目漱石・作「夢十夜」より第一夜
林芙美子・作「鶴の笛」
のニ作品。
いずれも、杉本彩さんにしか出来ない表現が好評でした。
ニ作品を朗読していただいた後、
杉本彩さんと対談をしていただきました。
質問者は、第4回青空文庫朗読コンテスト金賞受賞者の馬場精子さん。
(西村実花、杉本彩さん、馬場精子さん 左から)
では、この対談で、最も印象に残った言葉で締めくくりたいと思います。
「自分の心の深いところと、その作品のメッセージがリンクした時に、朗読って、とても強い力を持つんだろうなと思いました。」女優・杉本彩